Doll・Curse

「ただいま」
おじいちゃんはそう言い戸を開けた。
あれ、誰も居ないのか?
とおじいちゃんは不思議に思った。
「?」
居間に行っておじいちゃんは驚いた。
おばあちゃんの時とは少し違う驚き方だ。
見たことはあるけどなぜか思い出せない。
(この人形何処かで見たことがある)
おじいちゃんは考える。
しかし、結論に至らない。
その時だった。
「ヤッホー、おじいちゃん こーんばーんは
あれれ、反応がないなぁ、元気ないなぁ、暗いなぁ。」
人形は坦々と喋る。
「そうだ、おじいちゃん
刺殺と溺死と焼殺と一酸化中毒どれがイイ?
聞いて、ねぇ、聞いて。
私ね、焼殺ってやつヤッてみたいの。
イイでしょ? お・ね・が・い」
おじいちゃんは自分は夢を見ていると思っている。
(そうだ、これは夢だ)
「じゃあ、焼殺で」
軽い口調でおじいちゃんはそう言った。
「ヤッター、ありがと」
「もう、灯油は蒔いてあるの
そこにいてね、ずっとだよ!」
人形は火炎ビンを取り出し灯油の染みた畳に投げつけた。
ボッ
炎が燃える、燃え上がる。
家が全焼するのに時間はそう掛からないだろうと人形は思った。
人形は振り向き歩き出すと後ろからヒトが這う音が聞こえた。
振り向くとおじいちゃんが業火の中から出てきたのだ。
「熱い、熱い、熱い、熱い、熱い、熱い、熱い、熱い、熱い、熱い、熱い、
これは夢じゃないのか?」
人形は冷たい声音でこう言った。
「そうだよ、現実だよ」
おじいちゃんは人形に助けを求めた。
「嫌だ、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、
もう一度だけ孫の顔が見たい」
人形はおじいちゃんは顔面に向かってバールをゴルフのスイングのように振った。


「あーあ、焼殺は好みじゃないなぁ」
人形は後悔していた。
次は誰にしよーかな?