伝授された上目遣いでも輝には効かないらしい。
こうなったらしょうがない。
理由を知っている紀乃はみんなの反応をわくわくしながら待っている。
「クラゲ」
「?」
「...クラゲが足に触れそうで怖いの」
シーンと静まる一同。
聞こえるのは冷房の静かな音だけ。
「やめだ、やめ。海行こう」
「まってまって!」
それからみんなで輝を必死になだめたけど、結局は海行きが決定してしまった。
「大丈夫?」
「嫌な予感しかしない」
ギャーギャー騒いでいる中、賢がこっそり耳打ちしていたけどそれどころではない。
輝にはもうアイスを買ってあげないと心に決めた。


