右手がギュッギュッと二回揉まれたかと思うと何か喋っている賢 だけど、全然聞こえなくて口の形からも言葉を想像出来ない。 分からない私の表情を見てか、右手が引っ張られて、 「手・を・は・な・す・な」 耳元で一文字ずつゆっくりと話す賢 人数も増えてきて迷子になると思ったのだろう。 『了解』の意味も込めて頷こうとしたとき、 「あっ」 後ろから人に押され、足がもつれて前にバランスを崩す 「っ!」