小さい手から差し出されたのは、少し茶色くなったハンカチ。 「…あの、俺がちょっと拭いちゃったから少し汚れてますけど。 ………良ければ使って下さ、い」 「……いいんですか?」 眼を丸くして言えば、自分を俺と言った少年は顔を真っ赤にして「失礼します」と走り去って行った。 ハンカチは、あたしの手に残ったまま。