パーカーにスキニーパンツ、クロックスというやる気のない格好で

非常階段に私は立っている。


見える範囲ではこの建物が一番高い。


奥の山までしっかりと見える。


目の前のガレージ、太陽のマークが目印の駅、上を見上げれば

うっすらと見える星々。


一望するとはこういうことをいうのだろうか。


小学生のころ、私はこのマンションに引っ越してきた。


私の家は4階で最上階の7階に住んでいる幼なじみのような

ただの友達のようなあいつの家が羨ましい。


私はズボンのポケットから5年も使っている携帯電話を取り出した。


コール1回で彼がでる。


「着いた。」


簡潔に伝えて即切った。


何日も連続で遊ぶとインターホンを押すことに抵抗が出てきた為、

ふたりの間で暗黙のルールが作られた。