『亜子さんへ
ホントのこと言えなくてごめんな。
俺はここへ来た頃、1年後には病気で死んでしまうことを宣告された。
その際、俺には彼女がいた。
でも、彼女は俺が死んでしまうという事実に耐えられず、自殺してしまった。
俺はその時、泣いた。
亜子さん、俺が泣く時ってどんな時って聞いたよな?
それは俺にとって大切なものがいなくなった時。
あの時は病気の事も言えなくて話せなかった。本当にごめんな。
それから、俺は彼女だけを好きでいる。そう決めたんだ。
なのに、亜子さんは泣き虫で危なかっかしくて、それでいて一緒にいるとすげぇ楽しかった。
それから、守ってやりたいと思った。
始めは教師として、生徒を守りたいんだと思っていた。
でも、あの時、泣きそうな亜子さんを見ていたらどうしても抱きしめたくなって気づいたら抱きしめていた。
俺はその時、あぁ。俺は亜子さんが好きなんだって気づいた。
でも、それから少しずつ具合が悪くなり、学校へ行くこともままならなくなった。
あの時、気持ちを伝えていれば良かった。
そうやって後悔した。
俺はもう起き上がるのも精一杯で、これが最後の言葉となると思う。
俺は亜子の事が好きだった。
最後まで守ってやれなくてごめんな。』

読み終わるとまた涙が溢れ出てきて、その日は一日中泣いた。
前に夢で見た岩淵先生はきっと病気なのが分かっていたんだね。
教えて欲しかった。
治療に専念して欲しかった。
死んで欲しくなかった。
でも、もう先生はいない。
どんなに後悔しても先生が戻ってくることは無い。

私は岩淵先生が好きだった。
2人は両想いだった。

「気づかないうちに叶っていたんだね…。」

きっと泣いていたらまた先生に笑われちゃう。
私は泣くのを止め、学校にもちゃんと通った。

そして私は今、高校の教師となって仕事に励んでいる。
「先生彼氏いないのー??♡」
私は岩淵先生の事を1度も忘れることなく、生徒を愛する先生になろうと頑張っている。
「んー…彼氏はいないけどかけがえのない大切な存在の人は居るかな♪」
私にとって岩淵先生は今でも太陽のような存在で、かけがえのない存在だ。
きっと今でも優しく見守ってくれてるのだろう。