「亜子、おはよ!…って気分悪い??」
私はそんなに気分が悪そうな顔をしてたのだろうか。
たしかにさっきのことが頭から離れずにぐるぐる回ってはいたがそんなに顔に出てると思っていなかった。
「別にそんなことないよ?ふつー。」
「ふつーって何よ!こっちは心配してるのにぃー!!」
「…そんなことよりもミキ…遅刻ギリギリの自分を心配しなよ?」
ミキがくる少し前にチャイムがなっていた。
「そんなことって何さー!!」
少し立つと先生がきて、授業が始まった。
全然授業が頭に入らない。
その後の授業も、休み時間も、ミキと話してる時ですら頭から離れず、悩み続けた。

「あ、ごめん。今日掃除だからミキ先帰ってて!」
こんな時に限って掃除とか…最悪だ。
早く帰りたい。岩淵先生に会う前に…!
「分かった〜じゃあばいばーい!!」
ミキは何も知らなくて能天気だなー。
って知らないのは私が教えてないからだけどね。
でもなんで私だけがこんな目に合うんだろ…。
元々の原因はミキなのに。
なんて人のせいにしたところで何も変わらないけどね。
ほうきで床を穿きながら、外を眺める。
窓からは夕日が入り、教室がオレンジに染まる。
私の教室は5階にあり、窓から見た景色が最高に綺麗だった。

「はい。それじゃあ、掃除終わります。お疲れ様でした!」
「「「お疲れ様でした!!」」」
掃除を終え、時計を見ると既に6時を回っていた。
今の時間は大丈夫かな。
少し人多そうだけど、学校にいて岩淵先生と鉢合わせするよりはましだよね…。
人がいない事をただひたすら祈った。
そして、岩淵先生に会う事だけは避けたいと思った。
でも、今日は運が悪いみたい。
階段を見下ろすとそこには岩淵先生がいた。
「亜子さん、ちょっといい?」
ここで逃げたらバレるかもしれない。
男が気持ち悪いと思っていることがバレたら嫌われてしまうかもしれない…。
そう思うと。なかなか言葉が出てこない。
…あれ?私…嫌われたくないの?こいつに…?
なんで?…分かんない。

どんなに考えても自分の気持ちが分からなかった。