私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)


 春馬は玄関まで走って来ると、こんちわっすと笑顔を浮かべて頭下げてきた。

 でも、秋の姿を見た途端その表情は険しくなる。

「あ、姉貴もいたの?邪魔なんだけど」

「ッ…ごめ」

「声出すなよ。きめぇし。さっさと部屋行けば?」

「春馬!」

 おばさんが春馬を叱るが、聞いちゃいない。

 秋はかわいそうなくらいビクビクして俺に振り返ると、歪んだ笑顔を向けてきた。

 おいおい、さっき回復したばっかりなのに…。

 何か言いかけてやめた秋は、最後にまた歪んだ笑みを浮かべると後はひたすらうつむいて靴を脱いで、春馬の隣を早足で通りすぎて階段を上がっていってしまった。

 …絶対、部屋で泣くだろうが。

 思わず問題児を睨みつけると、春馬は顔色を青くさせてうつむく。