「あ゛ぁ、あのバカにどうやって数学の公式を叩きこませれば…」
「椅子に縛り付けて覚えるまで飯抜いたらどうだ」
「そんなことしたら夏餓死しちゃう」
本気の顔で平然と夏樹が数学の公式を一生覚えられないことを宣言した秋。
…夏樹はどれだけバカ扱いされているんだか。
「勉強会するか」
「うん。でも今度は学校か誰かの家でね?」
秋がそういうのは、前のテスト週間で商店街で、秋の親父さんが経営してる八百屋の2階で勉強していたら、手伝えと店に引っ張り出されてしまったのだ。
そんなわけで、それ以来テスト勉強を商店街付近でやるのはやめにした。
「今度は俺ん家にするか」
「じゃあ次は学校で、その次が私ん家!」
決まりというように笑う秋に勝手に頬が緩む。
こいつ、笑うと結構かわいいんだよな。
美人系か、かわいい系かと言われれば、絶対にかわいい系だと誰もが答えるだろう。


