夏休み。

 春ちゃんは最後の大会だと気合を入れてて、瞬も3年の先輩を快く見送るためにも最近は部活に打ち込んでる。

 そんな部活に打ち込む2人とは対照的に、私は志季の活動に精を出していたりする。

「あつ~」

「夏!それ言わないでよ!!」

「だってさ、夏に長袖とか…」

 活動を始めたのは秋。夏のことなんか考えてなかった。

 真っ黒ジャージは長袖だし黒で熱を集めるから結構つらい。

 前のファスナー全開だけど、羽織ってるだけで熱い。

 そんな熱いせいで、お客さんの足も鈍ってばかりだ。

「高校生狙ってソフトキャンディーでも売る?」

「あぁそれいいかもなぁ」

 志季のたまり場にエアコンなんて大層なものはないから窓もシャッターも全開。

 でもこもった熱のせいでサウナ状態だ。

 一応休憩時間なんだけど、むしろ働き続けた方が気がまぎれる。

 うちわをバタバタして風を送るんだけど、それも熱風で気がそがれる。