「秋!甘やかすなって言ってんだろ!!」

「っ…はぁい」

 俺が怒鳴ってやっと夏樹から離れる秋。

 くっそ、マジでムカつく…。

 確かにいい方向にはいってる。

 でも、夏樹に甘えるなよ。俺がいんのに…。

「瞬桜、相手しろ」

「…はい」

 部長がドシドシやって来て、問答無用で試合することになる。

 外したばかりのタオルをまた頭に巻いて、面を付ける。

 部長と竹刀を向け合い、試合が始まる。

 部長によそ見してる暇はない。でも、自然と視線が秋に向く。

 また六花と何か話してケラケラ笑ってた。

「瞬桜!」

「ッ…胴!!」

 部長の声に引き戻されて、反射で腕を動かす。

 間一髪俺の方が早くて軍配は俺に上がる。

 よそ見しすぎた…。