「うわぁ、人いっぱいだな…」

「そうだねぇ」

「当たり前だろ。入学式なんだから。…で、お前はなんでそんな金金頭になってんだ」

「え?高校ってこういうもんだろ?」

「漫画の世界だ…」

 思いっきりため息をついた瞬に、夏は染めたらしい金髪を触って、首をかしげてる。

 不良校じゃあるまいし、ありえないよ、夏…。

 当たり前だけど、みんなの髪色は黒。

 よって、金色の夏はすごく目立つ…。

 おかげさまで早くも引いた視線が突き刺さる。

「はぁ、こいつといるとバカだと思われる」

「大丈夫だよ。テストの結果で見直されると思うし」

「第一印象重要だぞ」

「挽回する!クラス見に行こう?」

 瞬の袖に掴まって歩き出す。

 まだ、人の視線に慣れなかったからちょっと怖かったんだよね。

 何枚か貼られてるクラス表の前に行く。

 でも名前を見つけるのがまたひと苦労だった。