「…いいたいことあるなら言っていいよ」

「…なんもねぇよ」

「そう、じゃあ警察と、怖い方どっちがいい?私としては怖い人たちの方を全力で押すけど」

「…警察」

「そう、残念。…夏、瞬、連れてく」

 夏と瞬に両側から拘束してもらって、尾木くんを外へ連れ出す。

 尾木くんは全然抵抗しない。

 やっぱり、前科があるのかな。

 たまり場から外に出てたところで、尾木くんの表情が変わる。

「…兄ちゃん」

「…な、なんで…」

 外で待っててもらった尾木くんの弟と、春馬と亮祐くん。

 本当は、こんな風にさせたくなかったけど、もう、こうするしかない。

 弟の姿を見て、初めて尾木くんの表情が変わった。

「なんで、お前がここに」

「…兄ちゃんの嘘つき」

「ッ…」

「兄ちゃんの嘘つき!!今まで持って帰ってきた金、全部奪ったんだろ!?なんでそんなことしたんだよ!!」

 弟くんは泣きながら叫ぶと、大人たちの方にまっすぐ駆け寄っていく。

 そして、大人たちに頭を下げた。