「どうしたん?怖い顔して…」

「おばあちゃん、私とじゃんけんしてくれる?あきなっちちょっと急用ができたんよ」

「そうかい?あきちゃん、忙しいねぇ」

「おばあちゃんごめんね」

 すぐにフォローに入ってくれたひまっちにお願いして、夏と尾木くんを奥の部屋に引っ張り込む。まだポケットに手は入れたまま。

 お父さんが襖を閉めたところで尾木くんに向き合う。

「尾木くん、ポケット見せて」

「なんもないよ」

「尾木くん」

「…っくそ!」

「秋奈!」

 殴りかかってきた尾木くんに咄嗟の反応が出来ずに固まると、夏に引き倒されて難を逃れる。

 でも、その隙に尾木くんが店の外に飛び出した。