『秋奈、すぐ帰ってこれるか』
「お父さん?…分かった。瞬、説得して…」
「秋、お前勝手に外出んな!」
背後から思いっきり怒鳴られて振り返る。
ちょっと慌てた様子の瞬が仁王立ちになってた。
…また不機嫌になってるッ。
慌てて電話のマイクのところを抑えて体ごと振り返った。
「なんか夏からメール来て…」
「ひとこと言えって言ってるだろ!」
「ごめんなさい!!」
なんでこんなに怒られなきゃいけないの~!?
瞬はため息をつくと、電話を見て出ろと態度で示してきたから、また電話に出る。
「お父さんごめん。…で、窃盗って何があったの?」
『…志季の中に犯人がいるかもしれない』
「え?…お父さん、冗談」
『秋奈、戻ってきたら詳しく話すから、帰ってこい。できれば瞬桜くんも』
真剣な声音に冗談とか言ってる場合じゃないんだって思い知らされる。
…志季にそんなことをする人がいるなんて、信じたくないけど…。
瞬に視線を向ける。


