「…だぁぁああっ!?」

「うるさい」

 大声をあげて床に転がった夏の口にあんぱんを押し込んで黙らせた。

 夏は勢いがそがれたのか、あんぱんをくわえたまま仰向けに転がってる。

「夏樹、全然進んでないだろ」

「もごもご…」

「食べてから口開く」

 夏の課題を覗き込んだ瞬が呆れた顔をして、夏はもごもご言いながらあんぱんを食べて、寝ころんだまま宙を見てた。

「もう無理。ギブアップ…」

「何がわかんないんだよ」

「全部!もう意味わかんねぇ!」

 悲痛に叫ぶ夏の開いてたワークは数学だった。

 何ページか戻ると、そこは些細なミスはあるけどほとんど理解してるような回答が埋まってる。

「夏、最初の方は出来てるじゃん」

「それは、秋奈がくれたノート丸暗記したから…」

「なら、このページもできるよ。ほら起きる」

 両手を差し出して夏を起き上がらせて、一緒に解いてみる。

 基礎は出来てるんだから、応用はコツさえ覚えさせればすぐだ。