「秋奈ちゃん、頼むよ。テーピングだけでもいいから」

「剣道部ばっかり贔屓するなよ~」

 さっきのことが、他のクラスにも伝わったみたい。

 ST後の教室で、部活の格好をした人たちが集まってる。

 でも、秋奈は全然聞いてない。

「ねぇ、他のクラス立ち入り禁止だよ」

「ッ…今はそれどころじゃ」

「それどころ?私も今それどころじゃないんだ。だからさ、部活行ってきなよ」

 にっこりと微笑んだ秋奈に、運動部の人たちは諦めて教室から出て行く。

 やっと静かになった。

「はぁ、もううるさいんだから…」

「うん」

「六花、昼間の私絡み?」

「…違う」

「本当に?」

 本当のこと言ったら、秋奈傷ついちゃう。

 悲しそうな顔してほしくない。

 だから、言いたくない。