「秋奈、そこにいる」

「あ、おかあさ~ん!」

 子どもの方が先に気づいて秋奈の手を離して走って行く。

 そんな様子にほっと息を吐いて見送る秋奈に笑いかけると、笑顔が返ってきた。

 でも、不意にパチンと頬をはたく音がして、驚いてさっきの母親の方を見ると、子どもを叩いたようだった。

「なんで大人しくしてなかったの!迎えに行くって言ったでしょ!?」

「ッ…うわぁぁあああん」

「泣くんじゃないの!!」

 どうやら母親は子どもをある場所に置いて買い物に行ったらしい。

 待っているところを秋奈が見つけて声をかけたんだろう。

 最悪のパターンだなこれ…。