藍色の瞳






耳元で聞こえる気持ち悪い声






鼻を掠めるキツイ男物の香水の匂い






……臭い






何もかもが柊雅さんや理玖さん達と正反対で






私は拒否反応しかでなかった






「怖がんなって〜
ちょーっと前の借りを返させてもらうだけだからさ?」






「……っ」






そうだ

私はもう忘れかけていた






少し前まで自分が働いていた悪事に






「ここじゃちょっとアレだし…
ついてきてくれるよな?」






肩に回されていた仁の腕がぐっと強まる






ジャリッ






身動きの取れないまま、ガラの悪い集団に無理矢理引っ張られる






動かすまいと地面にへばりつけていた足が剥がされそうになった時だった






「いやっっ!!……んっ」






唇に押し付けられる気持ち悪い感触






視界いっぱいに広がっていたのは、吐き気のする仁の顔






「いやぁ……」






触れ合った唇の隙間から必死に抵抗の声を漏らす






でも声にならない






悔しくて


悲しくて


惨めで






ボロボロと大粒の涙が頬を伝ったのが自分でも分かった






「はっ……これからよろしくな?」






「……っっ」






ゾッと身体が震えた






……助けて






「…柊……雅…さん……」






無意識に口から漏れたのは






彼の名前だった