「若っ」
そんな私たちを見ていた理玖さんは何かを訴えようとしてくれたけど
「……」
「……っ」
あまりにも冷たすぎる柊雅さんの眼力で言葉を失っていた
そんな状況から生まれるのはやっぱり私に対する嫌味の言葉で
「やっぱり相手にされてないじゃん。」
「ばっかじゃないの」
どれも私の胸を容赦なくえぐる
そうか……
私はまだ子供だったんだ
強がって大人びた態度をとっても心は子供のままだったんだ
小さい子供のように願ってる
“私を見て”
“私を必要として”
って……
心の中で泣きじゃくってるんだ
何も言わずに再び歩き出した柊雅さんの背中を追って、私も平然と歩き出す
きっと何か勘違いをしていたんだ
柊雅さんが私を拾ってそばに置いてくれていたのは“気まぐれ”で何の意味もない
家で触れてくれていたのも、キスしてくれたのも
何の意味もなかった
私はペット?
それともおもちゃ?
どっちでもいいや
贅沢な生活をさせてもらってるんだ
ペットでもおもちゃでも何でもいい
ただ、これからは勘違いしないようにしなきゃね……
「理玖さん」
「……?」
「私が哀れですか?」
「……は?」
前を、柊雅さんの背中を見つめたまま理玖さんに問いかける
助けてもらえないと何も出来ない私が
今、柊雅さんに拒絶された私が
……哀れですか?
「蜜ちゃん」
きっと理玖さんはそんなこと思わない
だって優しいから
「蜜ちゃんは蜜ちゃんでしょ?
僕言ったよね?自信持ちなって。」
「……はい」
