藍色の瞳





今日は運が良かったのか、資料の整理と裏会社などのハッキングだけで俺の仕事は終わった






「理玖、もう柊雅の所に行って構わないぞ」






組長からそう言い渡されたのと






ピリリリリリリッ






俺の携帯が着信を知らせたのはほぼ同時だった






「ありがとうございます

…失礼します。」






直角に体を折り曲げ頭を下げると






「あの馬鹿息子が暴走しないようによろしくな」






苦笑気味に降ってきた声






「承知しております」






組長の目をしっかり見て答えると、柊雅と同じ、だけど少し温かさがある漆黒の瞳で見つめ返された






『今どこにいる』






本家を急いで出た後、車のエンジンをかけながら携帯を耳に当てるといきなり聞こえてきた低く不機嫌な声






「今からそちらに向かうところですよ」






機嫌が悪いであろうと予想していた俺は冷静に答える






『飛ばせよ』






「承知」






…承知したけど






柊雅の基準でいう“飛ばす”は、俺の基準でいう“暴走”と同じスピードなんだよなぁ






……勘弁してほしいな






苦笑いを漏らした俺は、両手でしっかりハンドルを握りしめた