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「1、2、3、…………10…13…」
口から漏れる数字が大きくなるほど私の気分は上がっていく
「さすが社長」
さっきも同じ事を呟いた気もするけど、さすがとしか言いようがない
繁華街を足早に歩きながら諭吉さんの数を数えると、結局20枚にもなった
これで当分ホテル街に行かなくても良いと思いながら、何となく視線を横に向ける
「………」
建物のガラス越しに見えた自分の姿
色素の薄いミルキー色の巻かれた髪は腰まであって
2重の瞳は暗い藍色
もちろんカラコンもしていなければ染めてもない
どちらかと言うと“嫌い”なこの容姿
役に立つ時もあれば、今の私をつくる原因ともなった憎いものでもある
「なぁ、あれ那夏じゃね?」
「うわ、ホントだ‼︎相変わらず可愛いな〜」
「まぁどうせ、これから男んとこ行くんだろーな。
もしかしたら今まで会ってたのかも…」
繁華街を歩いていると、必ず集まる視線と噂
確かに今まで男といたけど、噂してる彼らが想像してる事など一切起きていない
でも私は否定しない
繁華街で男をはべらす“那夏”は噂だけで充分
きっと今頃時田さんは青ざめているだろう
あんなにお腹いっぱいだった財布が、とってもスマートになっているのを見て
