綺麗にセットされた真っ黒な髪
180は超えているであろう身長
長い睫毛は綺麗な肌にくっきりと影を落としていて
「……死にたいのか」
鋭い漆黒の瞳に捉えられた私は目を反らすことも出来ない
「……んっ」
泣く子も黙る……いや、泣く子は死んでしまうであろう凍てつくような低い声に
私はうめき声をあげ、目で訴える事しか出来なかった
「………」
ギリギリと締め付けられる首に意識が朦朧としてくる
「………や……」
必死に声を絞り出し「助けてくれ」と懇願する
この時私は初めて『死にたくない』って思ってたんだ……
「若‼︎」
そう聞こえた気がした
と、同時に首元から離れていく大きな手
支えるものを無くした私の身体は重力に逆らうことなくズルズルと落ちていく
でも
「……死にたくないんだろーが」
そんな声と共に、地面すれすれで温かいものに包まれた
「……っ……〜〜っ」
鼻を掠めた香りは何故だか落ち着いて
ジワジワと温もりが広がっていくことで、私の涙腺は崩壊した
