藍色の瞳




「…残念だったなぁ?お前がその路地裏に逃げ込まなかったら俺を巻けてたかもしれねぇーのに」






そう言った仁は全く残念じゃなさそうにわざとらしく言う






「……ばっかじゃないの」






無意識にそう吐き捨てていた私はきっと強がることしか出来ない人間になってしまったんだろう






ガンッッ






後頭部に激痛が走り、一瞬息が止まったかと思った






「那夏っていう女は随分口がわりぃーんだな」






「後ろから鉄パイプなんかで殴る男より性格はマシだと思うけど?」






ドカッ






集団のリーダーらしき男を睨みつけると、今度はお腹を思い切り蹴り上げられる






「……げほっ」






耳に響く不快音






1度目は見ている側、聞いている側の第3者だったけど






……今は紛れもなく私自身が危害を加えられている






「仁、こいつどーするよ?」






「……あー」






蹴り続けていた足を止め、この後の始末を聞く男






生き埋めにされたりしたらたまったもんじゃない






今のうちに逃げよう……そう思った






でも、逃げても無駄じゃない?






まともに歩くことすら出来ないのに、捕まることなんて目に見えてる






だったら…






「めちゃくちゃにしてから逝かせてやろうと思ったけど…
ムカついたから今すぐ殺ってくれ」






「あとで後悔するなよ?」






……殺られる






「………」






「ふんっ、流石に諦めたか」