「っ‼︎‼︎」
きっとバチが当たったんだ
神様がもうやめろと言っているんだ
私の前の大きな影はゆっくり近づいてくる
「よぉ那夏
………よくも俺を騙してくれたな〜?」
目の前でニヤリと汚らしく笑うのは、紛れもなくさっきまで一緒にいた男で
クシャ
私の手は無意識にお札の入った封筒を握りしめていた
「……
どぉ〜したの〜?」
焦っていることを悟られない様にいつもの声色で応える
「…今すぐに取ったものを返して土下座するなら見逃してやってもいいぜ?」
「やだ〜、何言ってるのぉ〜?
那夏何かした?」
「ざけんなよ?
ここで犯してやろーか」
……もう誤魔化すことは出来ない
もし見逃してくれたとしても、きっとこの男はこのことを広めるだろう
『那夏は男を騙して金を取っている』と…
もし事実が広められたら男は私に声をかけることもしなくなるだろうな…
そしたら私はどうやって生きていけばいい?
他に帰るところなんてあるわけない
「おい!聞いてんのかテメェッ‼︎」
もう考えるのはやめよう
「……うっさいよ
何怒ってんのか知らないけどね、油断してるほうが悪いと思うよ?」
……違う
それは私の捻くれた考え方
「それにあなただってデレデレして“やっちゃいけないコト”しようとしてたじゃない。」
……こんなのただの当てつけ
「付き合ってもない未成年に手ぇ出すことが“やっていいこと”だって思ってるの?」
……ごめんなさい。私はあなたにこんなこと言える立場じゃない
