藍色の瞳





「そう……」






何か引っかかった






流れた沈黙






破ったのは私の口から無意識に漏れた小さな呟きだった






「ねぇ、“若様”って知ってる?」






店内には音楽も流れていたから新の耳には届かなかったかもしれない






でも、小さくに揺れた肩を見て私は新には聞こえていた事を確信した






この男なら何か知っているかもしれない






「……なに?興味あんの?」






視線だけこちらに向け、さっきよりも冷たい声で聞いてくる






「興味は無い。けど気にはなる」






「いっしょじゃねーか」






「興味があるっていうのは、知っている事をもっと深く知りたいってことでしょ?
私は全く何も知らないから興味を持つ持たない以前の問題」






「……」






カクテルを飲み終え煙草に火をつける新を見て、私も鞄から煙草を取り出す






「へぇ、素だと煙草も吸うのか」






「悪い?」






「いや?」