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異様な空気を漂わせる繁華街
その中心寄りにある小さなBARに私達はいた
そこは隣にいる男がオススメだと言って連れて来てくれた所
「お前も気に入っただろ?『Licht』」
『Licht』とはこのBARの名前
「……そこそこ」
まぁ、決められた人しか入れないらしいから静かで良いとは思う
「どうして新が入れるのかは聞かないけど、私は新が居ないとこれから入れないじゃん」
横にいる男はカクテルを飲んでるだけで様になっていて
「その事なら問題ねーよ?
バーテンダーにもう言ってあるからお前は好きな時に1人でも入れる。」
「……そう。ありがとう」
それに声もこんなに低かったっけ?
もっと軽そ〜な、チャラ〜イ感じだった様な…
「ねぇ…」
「……ん〜?」
「キャラ変わりすぎじゃない?」
「…はっ…お前に言われたくねーなー」
こいつ今…鼻で笑った…
「そんなの分かってる。この世界で素を出したらやってけない」
「なるほど。
ま、俺はあんな所にいる時はいつもあんな感じだな。色々楽だし」
「……ナンパするのに?」
「いや、いつもはナンパしないぜ?」
……意外。
片っ端から声かけまくってそうなのに
…でもまぁ新の顔なら……
「声なんかかけなくても女なんて寄ってくるしな」
…でしょうね
じゃあ何で私に声をかけたのか気になったけど、面倒だったから聞かなかった
「つーか何で俺の事呼んだの?」
てっきり気にしてないと思っていた事を掘り返されて言葉に詰まる
「俺、てっきり夜のお誘いかと思ったのに」
