再び深いキスに呑まれそうになった時だった
「今何時だと思ってるんですか?」
「っっ!」
恐ろしい声が聞こえ、私がゆっくり視線を上げると
「蜜ちゃん、ちょっとごめんね?」
にっこり笑った理玖さんが柊雅さんの後ろに立っていた
「なんでいる」
「なんで?
若を迎えに“わざわざ”ここまで来たんですよ?
なのに若は起きないし
挙句の果てに朝から盛り出すし」
「邪魔すんな」
「若?今何時かおわかりですね?」
「今日はここから出ねぇーから」
……あの
話が噛み合ってない気がするのですが
「……はぁ」
理玖さんも通じないことを判断したのか、私に視線を向けてくる
「?」
「悪いけど蜜ちゃんから若にお願いしてくれる?
話さないといけない事も色々あるし」
……わ…私?
理玖さんでも聞かないのに?
「理玖、しつけぇーぞ」
しかも超絶不機嫌だし…
…でも…
「と…柊雅さん
あの、お腹空いたので…お、起きませんか?」
そろそろ私も寝室から出たい時間
「……チッ」
勝ち誇った顔の理玖さんに一瞬眉を寄せた柊雅さんは、小さい舌打ちをした後
「っ!」
噛み付くようなキスをした
(……あ…あああああのっ!
柊雅さんってこんな人じゃなかった気が…)
目覚めてからずっと顔が真っ赤なままの私が涙目で理玖さんを見ると
(若はこんな男です)
と、綺麗な笑顔と共にアイコンタクトが送られてきた
