何時間経っただろうか
たいしてうるさくも無い着信音で目を覚ました
瞼を持ち上げ、ぼんやりしているうちも静かな部屋で携帯の音だけが鳴り続ける
………なかなかのしつこさに溜息を一つついた私はそれを耳に当て
「……はい」
相手が誰かも確認せず、酷く冷たい声で応答した
電話をかけてくるなんて男くらい
メッセージの返信を見た昨日の男がすっかり広まってしまった私の電話番号をどこかで知り、かけてきたんだろう
それか、全く知らない男からかかってくるのも良くある事
でも今回は全く予想していなかった所からの電話だった
「佐伯か?」
……“那夏”じゃない…
それにこの声……
「天瀬…先生…?」
「あぁ、久しぶり。」
「お久しぶりです。」
本当に久しぶりに聞いた担任の声
30代後半の男性で世界史担当の物腰の柔らかい先生
「……なんでしょう?」
わざわざ電話をかけてくる事なんて無かったからか、何を言われるのか緊張する
……休みすぎて呆れられているのは分かっているけど
