午後6時、またきみに会いたくなる。

帰りの電車―。
まだ昼過ぎなため車内には同じ学生くらいで、そんなに人はいない。

結局、きょーくんとは話せなかったな。
終礼後はきょーくんはさっさと職員室へ行ってしまった。

でも、明日だって明後日だって、これからは毎日会えるんだなぁ。

明日―?

「あっ」

明日ってもしかして新入生歓迎会…?
どうしよう、部活紹介あるのになんの準備もしていない。

相田くんにも伝えてないし、伝えたところでやってくれるかはわかんないしな…。

「はあ、相田くん――」

ため息と共に抱えたリュックに顔をつっ伏す。

「なに、呼んだ?」

「えっ?」

びっくりして顔を上げると目の前に相田くんが立っていた。

「な、な、なんで相田くんがっ」

「おれもこっち方面、だめ?」

「だっだめじゃないっ、全然っ」

ああ、あがり症のばかやろう。

「それで、どうしたの?」

そんな私を落ち着かせるような、優しくて、ゆっくりした声色。

「何か、おれに用があったんじゃないの?」

目が合う。優しい目。
あ、大丈夫だ。
ちゃんと話せる―。

「あ、あのね―」