引かれてしまったかな、と嫌な予感が胸を過ぎる。
独り言の多い変なヤツって思われてしまったかもしれない。

「いいと思う」

予想外な言葉が頭の上から降ってくる。

「うまく言えないけど、そういうの、いいと思う。部長、ちゃんと向き合ってるって、頑張ってるって、そういう感じがする」

相田くんなりにフォローしてくれてるのかな。
それならたとえ嘘だったとしても嬉しい。

「歓迎会は大成功して、たくさん部員が入ってくれます」

「え？」

「こんな感じ？部長のおまじないマネしてみた」

顔を上げるとすぐ近くに相田くんの優しい表情。
何気ないこの会話に、さっきまであった少しの緊張が解れていく。

「完璧、です」

親指を立てて笑ってみせる。
うん、本当にうまくいく気がしてきた。
大丈夫。

それからは、相田くんと他愛も無い会話をしながら電車が学校の最寄り駅に着くのを待っていた。