「なんだなんだ、男の子にプレゼントか?」

今までだんまりを決め込んでいたきょーくんが急に会話に入ってくる。
しかも図星なもんだから余計に言葉につまる。

「ち、違うよ。部活を見に来てくれた人に部の説明しながらお茶菓子でもだそうと思って」

「なるほど、かほはマメだなぁ。あ、そうだ、明日最初は少し美術部にも顔出すけど、その後バスケ部の方にも行かなきゃだから、その間かほだけで大丈夫か?」

「え、うん。別に去年だって生徒だけで活動とかよくあったし」

「そうか、バスケ部が落ち着き次第またそっち行くから。俺の分のブラウニーもとっといてよ」

いたずらな表情。
そんな目をされたら断ることなんてできない。

「なくなっても知らないからね、…欲しかったら早く来ればっ」

やっぱり素直になれない。
調理器具を出しながらため息が出る。
相田くんときょーくんのために作るのに。

「じゃあ、そろそろ帰るかな」

え、もう帰っちゃうの?

「あら、せっかく来たのに夕飯は食べてかないの?」

昔だったら家にきょーくんが来たときはいつも夕飯を一緒にしてた。