私と彼をつなぐもの。

「な、なんで。っていうかどうしたんですか、これ。」


突然の事にビックリしていると、黒宮さんは私にどんどんお土産を渡してくる。


「これが、イタリア。これが、博多。中国と韓国と、これどこのだ?」


あっという間に私の両手はいっぱいになる。



「こんなに貯まってんだよ。土産。いい加減、飯作れよ。」



まっすぐ私の目を見る黒宮さん。


「でも、ウサギ屋再開しましたし、私なんか………」



「ウサギ屋はウサギ屋。俺はやっぱり七瀬の飯がいいんだよ。」


そう言われてせっかく収まっていた涙はあっけなくまた流れ出す。


「なんで泣くんだよ。」


驚いた顔をしながら両手がふさがった私に代わって黒宮さんが涙を拭いてくれる。


「もう、作れないです。」


「なんで?」


悲しそうそうな顔をする黒宮さん。


悲しいのは私も同じ。



「…………そんなに俺の事嫌いになった?」


悲しそうにしながらも、笑顔を作ろうとするその表情に私はさらに切なくなる。


「違います。嫌いなんかじゃない………」


あれほど怖かった言葉が自然に出てくる。


「私は黒宮さんが好きなんです。でも私、自信がないんです。」


ぐいっと頭を抱え込まれて私は手に持っていた荷物ごと、黒宮さんに抱き締められる。


「………お前、バカ。本当にバカ。自信ってなんだよ。」


離されると黒宮さんは両手で私の頬を包み込む。


「自信なんていらねぇよ。俺は七瀬がほしいだけだから。」



その言葉を聞いて、止まりかけていた涙は再び溢れ出す。


私でいいの?


「わ、私でいいんですか?桜井さんの方が綺麗だし……それに、花井さんだって。」


「なんなんだよ!お前はっ!桜井とかありえねぇし、花井だってもう終わった話。なんとも思ってねぇよ。

それよりも、俺はお前に避けられて気が狂いそうなんだよ!飯も食えねぇしっ!フライト先でもお前への土産ばっか探して。

綺麗な空見れば、お前を乗せて飛びたいって思うし。早く帰って、お前の顔見たいって思うし!

でもお前はそう思ってないのか、きっぱり桜井にただの家政婦だって言い切るし。

最終的には完全に避けられるし。俺はもう限界なんだよっ!」

そこまで息継ぎしてない程、まくし立てると、1度深呼吸をしてポケットから小さな四角いケースをだす。