私と彼をつなぐもの。



ついてない日って言うのは本当についていなくて。
仕事の帰りスーパーに立ち寄り、マンションに帰ると分譲マンションの方のエントランスの前に立っている一組のカップル。


それは、黒宮さんと元カノでピアニストの花井さんだった。


花井さんは黒宮さんの腕をつかんで、下を見ながらなにかを話していた。



「花井さん、帰国したんだ………。」



呆然とスーパーの袋を両手に持ち立ちすくむ私に、黒宮さんが気づくと花井さんの腕を離しこちらに歩いてきた。



「悪い、今日は飯いいわ。」


それだけ言うと花井さんの元に戻り、何か言うと二人はエントランスの中に入っていった。


「あーあ。今日はせっかくハンバーグにしようと思ってたのに。」


笑ってほしくて。あの無邪気な笑顔で『旨い』って言って欲しくて。


今日は黒宮さんの好きなものを作ろうと思ったのに。


予想以上に傷ついている自分にビックリする。


「アハハ……すっごいお似合いだ。あの二人。まさに美男美女だぁ。」


乾いた笑いと共に溢れてくる涙。


「……しょせん、私はウサギ屋の代わり。家政婦のようなもの。」


すれ違う人達が私の顔をチラチラと見ていく。
人に見られてるってわかってるけど1度出た涙は止まらなくて。