私と彼をつなぐもの。

フロアガイドを見ると、黒宮さんはお目当ての店の場所を確認して歩き出す。
さっさっと歩き出す黒宮さんの長い足に私はついていけず、小走りで追いかける。


「あっ悪い。」


振り返った黒宮さんは立ち止まる。そして私に合わせてゆっくりと歩き出す。


「あ。ここだ。」


そこは私が欲しい調理器具メーカーのショップ。カラフルな鉄の鍋が有名なブランドだ。


迷わず入っていく黒宮さん。


「ここに来たかったんですか?」


「ほしいって言ってただろ。」


「あの、欲しいですけど。でもまだちょっと今は買えないんで………」


このブランドの鍋は数万円はする。いつかは欲しいけどなかなか今すぐには買えない。まぁ、ひとり暮らしだしね。


「だからお礼に俺が買ってやるから好きなの選べよ。」


「そっ!そんな!こんな高いの悪いです!」