私と彼をつなぐもの。

ことん。

と珈琲の入ったマグカップを置くと、ベットにもたれながら側にあったクッションを抱え、少しだけムッとした表情で黒宮さんを見る。


頬杖をつきながら私をじーっと見る。


「な、なんなんですか。」


「………それ。誘ってんの?」


「はぁ?もーなんですか。」


「冗談だよっ。いや、部屋を片付けてもらったお礼に食事もかねて出掛けないかと思って誘いにきた。」


………またその笑顔をだす。そんな無邪気な顔で笑われたら、怒ってるのなんてすぐ吹っ飛んでしまう。


「そうならそうと……来る前に連絡してくれればいいのに。」


「だって同じマンションなんだし。誘って返事待ってるの嫌だから。来ちゃった。」


「もー来ちゃったって。私まだ何にも用意してないですし。」


「うん。待ってる。」


「ま、待ってるってここで?」


「そう。」


「な、なんで?女の子にはいろいろとあるんですけど……長いですし。」


「だろうね。他の女だったら待たない。っていうか帰る。でも七瀬なら待つ。」


今度は優しく微笑む。普段はクールなのに時折見せるいろいろな笑顔に私はもうノックアウト寸前だ。