という流れで黒宮さんの自宅にやって来たのだが、私は玄関に入ってから一歩も動けない。


「な、な、な、……」


先を行く黒宮さんは廊下の両側に積まれた数々の物の隙間を歩いて奥へと向かっていく。


「なんなの!!この部屋っ!!」


そうまさにここは、汚部屋。ゴミなのか必要な物なのかわけがわからないほど散乱している。


リビングはさらにひどい状態で、せっかくの広い部屋が台無しだ。



「あのね、黒宮さん。」

私はごそごそとゴミ袋を探す黒宮さんの背中に問いかける。


「掃除、整理整頓。したことありますか?」



キョトンとした顔をして振り替えると一言。


「ありません。」


私はがくーっと肩を落とす。


「黒宮さん明日仕事は?」


「休みだけど。」


「朝から予定入ってますか?」


「や、なんもないけど。何?デートの誘い?」


ニヤニヤするその顔のほっぺを軽く背伸びしてつねる。


「痛いイタイっ!!」


「バカっ!!部屋を片付けるんですよっ!私も明日は休みだからとことん付き合いますっ!今日中に片して明日ゴミ出しますよっ!!」


こんな部屋。ほっとけないっ!
ウサギ屋のおばあちゃんの言っていた言葉を思い出す。


「………こういうことだったのね。」


私はぐっと腕捲りをして気合いをいれる。


やってやろうじゃないか。
リミットは、ゴミ業者かくる午前8時。
それまでにこの汚部屋を綺麗にしてやるっ!!