春色プロポーズ


「やっぱり、お風呂はいいねぇ~」

オッサンさながらな台詞をいい、お水を飲むためにキッチンへと向かう。シンクを見れば、お世辞にも綺麗とはいえないけれど、ちゃんと食器が洗ってあった。

「やればできるんじゃない」

リビングを振り返れば、悠くんがソファーにもたれて何か雑誌を読んでいる。

「悠くん、なにか飲む?」

「ん? あぁ、コーヒー」

「了解です」

食後のコーヒーは、悠くんの定番。だから普段は聞かずに淹れてあげるんだけど。今日は少し間が空いてしまったから、お伺いを立ててみた。

「確かここに、クッキーがあったはず」

食器棚の扉を開くと、右奥におみやげに貰ったクッキー缶を発見。それを取ろうと手を伸ばしかけたところで悠くんに名前を呼ばれ手を止めた。

「なあ、はる」

「なあに?」

「おまえんち、子供の頃雛人形出してた?」

「うん、出してたけど。それが、どうかした?」

「雛人形ってさ、祭りが終わったら早く片付けないと結婚が遅れるんだって」

「あぁ、そうみたいだね」