「は、母をお願いします……」

私達は息を切らせて、受付の日向さんに言った。

「野々さん、お久し振りです。少々お待ち下さいね」

日向さんがニッコリ笑って電話を繋いでくれる。

ああ、日向さんは今日も美人。

「……はい、はい、分かりました」

日向さんが電話を切って、こう言った。

「社長は今、手が離せないそうで、秘書の大手町さんがお迎えにいらっしゃるそうですよ」

「そうですか。ありがとうございます」

ペコッと頭を下げて、ロビーにあるソファーに座って待つ事にした。