「ふふっ」

吉野が、智史との電話を切り、笑う。

ギッ……と、革張りの椅子に腰を下ろして、背もたれにもたれかかった。

「楽しそうですね、社長」

カツン……と、秘書の大手町計吾が、机を挟んで吉野の前に立つ。

「そう?」

「ええ、とても」

「ふふふっ。未来の息子がね、ちょっと困ってたから助けてあげてるの♡」

「遊んでる、の間違いでは?」

「あら、失礼ね。ちゃんと助けてあげてるのよ?」

鼻唄を歌いながら、椅子をクルクルと回す。