「ずーっと気付かなそうだから言うけど、野乃は智史が好きなんだよ。だから、吉野さんと智史が結婚するのを反対してる」

「……え?」

「まあ、当然だよね。好きな人が自分の父親になるなんて、絶対に嫌だもん」

「ちちちち、ちょっと待って!?さっきから絢香ちゃんは何を言っているのかな!?」

私はどんどん話を進めて行く絢香に、ストップをかける。

「だから、野乃は智史が好きだから、吉野さんとの再婚を反対してる、って言ったの」

「なんで再婚を反対してるからって、私が智史を好きなのよ!?」

「じゃあ、なんでそんなに嫌なのか、自分の胸に手を当てて、よーっく考えてみなさいよ」

絢香が、私の心臓の辺りを指差す。