野乃が、勢いよくリビングを飛び出して行ってしまった後。

俺と吉野さんは、野乃が思いっきり閉めたドアを見つめていた。

「……吉野さん。これ、本当に大丈夫……?」

ギキギ……と首を動かし、吉野さんを見る。

「うーん……。多分☆」

吉野さんは舌を出し、おどけた。

それを見て俺は、はぁぁぁっ……と溜め息を吐き、頭を抱えてその場にしゃがみ込んだ。

「だから嫌だって言ったんだよ……絶対にややこしくなる、って……」

「ええ~?最終的に智史くんもノリノリだったじゃなーい」

吉野さんは頬をぷくっと膨らませ、唇を尖らせた。

(そーだけど……そーなんだけど!)