大切な人

「志恩くん?目覚まして!起きて!」

私は、涙が止まらなかった。

泣いていると、いきなり声をかけられた。
「佐々木さんからもしものときにわたしてくれと言われました。どうぞ。」

看護師さんからもらったものは、遺書と素敵なネックレスだった。

手紙はとっても震えた字でこう書かれていた。

―優璃、今までありがとう。いきなりの告白に戸惑ってる優璃の顔が今でも忘れられません。恋愛経験がない優璃に、もっと色んな経験をさせてあげたかった。病院に毎日来てくれる優璃の目は日に日に赤くなっていて、毎日泣いているのがわかって、俺も毎日泣いていました。本当はあわよくば結婚出来たら良いなって思ってたけどもう、むりだね。ごめんね。俺がこんなんなっちゃうからさ。だから、一つだけ最後の俺の願いを聞いて。「泣くのは今日までにして。俺のことを忘れて新しい素敵な男性と結婚してください。」今までありがとう。佐々木志恩―


紙は所々ふやけていて書きながら泣いていた、志恩くんが想像できる。

ネックレスには志恩くんと私が初めて出逢ったあの告白の日が、掘られていた。