大切な人

―理香子―

「志恩いる?」
私は、志恩のクラスの前で叫んだ。
だって、恋を知らなかった優璃があんな顔して泣いてるんだもん。
ほっとくわけにはいかないでしょ!

「あっ!りか姉どーしたの?息荒いよ?」

何が息荒いよだよ!?お前のせいだっつーの。

「ほら!これ見なよ!優璃の机の上においてあったんだよ!これ見たら、優璃泣き出しちゃって…あんたホント何考えてんの?」

紙を見せた途端、志恩はどこかへ走りだした。

「あぁ、もう呆れた。」

私は、そのまま高等部へ引き返した。