僕は 彼女にリードされるがままに ウィンドウショッピングをしたり

彼女が見たがっていた 恋愛ものの映画をいっしょに観た。

昼食は 大手ハンバーガーチェーンのフードフードバーガーセットをたのみ二人で食べた。

彼女は 僕の話を笑顔で聞いてくれた。


彼女といる時間がとても楽しかった。



このまま こうしていられたら どんなに幸せか…



でも 楽しい時間の時の流れはとてもはやい


空はまだ明るいが 既に六時は過ぎていた。



《月狼君…

今日はありがとう…

付き合ってくれて…》


≪僕の方こそ ありがとう こんなに楽しかった事 初めて

日向さん…本当にありが…≫


《たのしくなぃょ…》

彼女は俯きながら言った。



≪えっ…≫


《楽しくないよ


やっぱり…

好きでもない人と 半日もいて…

楽しいわけないじゃん‼

今日は あたしにとって大事な日…

貴方じゃなく 太陽に祝って貰いたかった…》


彼女の目から涙が零れ落ちた。


《日向さん…

ご免なさい…

僕…》



彼女の言葉は 僕の心を深々と貫いた。


《ご免なさい…

月狼君…》


彼女は 涙を流しながら 走って行った。




楽しかった…


僕だけが 楽しかったデート…


いいや…


僕は 彼女の彼氏ではない


僕だけが 楽しく 彼女は楽しく無かった…


今日彼女は誕生日…

僕なんかより 太陽の方が………


僕なんかより…………



僕の目から 温かいものが流れ落ちた。


そして 拳は強く握られた。