≪えっ…

僕が…


日向さんとデート…≫

頭の中で 彼女は 僕に優しく微笑んだ。

そして…

思い描いてはいけない デートをしている姿を妄想した。


それは 時間にして2秒…

不覚にも 否定する時間のギリギリだった。


≪な…

なに言ってだよ…

何で僕が 太陽の彼女とデートしなければならないのさぁ≫


僕は 思いと裏腹の言葉を太陽に返した。


『いいだろ 元兄

どうせ 暇なんだし♪

俺の代打ってことで‼


≪代打…って?

いいわけ無いじゃないか≫



『俺達 ほら一卵性だから バレないって

顔似てるし♪

それに



彼奴のこと…

苦手なんだ‼』


太陽は サラリと言った。



≪なに言ってんだよ‼

意味わかんねぇしー!≫


『俺 明日デートだから‼』

太陽は そう言って 牛乳の入ったグラスを口元に運ぶと一気に飲み干した。


≪はぁっ?

じゃあ日向さんわ……≫



『元兄に任せるよ♪』

太陽は ニヤリと微笑むと


『後は 任せた‼』

と、


無責任な言葉を残し


携帯電話を耳元に運ぶと 日向さんではない彼女(たぶん)と話ながら 自室に向かった。

僕が 言葉を発しようとしたが 太陽はそれを手で制した。




一人取り残された僕の頭は

勝手な妄想を映し出し 頭の中にすみつく彼女が満面の笑みで僕を迎えてくれた。


彼女と会えることは 嬉しい…

だけど…

太陽として 会うのは僕の中の理性が許さなかった。


僕はある決意を決め



再び



頭の中で妄想シュミレーションを開始した。