待ち会わせ場所は 昨日と同じ駅の改札口の前だった。

彼女の性格からして 遅れて来ることはないと思い

駅まで 自転車で十五分で行ける道のりを 約束の三十分前に家を出た。


おかっぱ頭に 赤色の縁眼鏡 今時珍しい髪型だ。

彼女なら直ぐに 見つけれるはず。


セーラー服姿しか見たことのない 天野さんの私服姿は想像もつかなかった。


僕は 楽しみだった。


だけど…

女子と二人きりで出かけるのに 昨日のようなトキメキは無かった。


僕は おかっぱの髪型を探しながら待ち合わせの改札口で待った。



《お待たせ♪月狼君》

そう言って僕に声をかけてきたのは 太陽の彼女 日向さんだった。



≪あっ…昨日は…

ご免なさい…‼≫


僕は 彼女を見て 反射的に頭を下げた。



《月狼君…

私よ 天野

天野 月美よ‼》


僕は その言葉にハッとし 目の前の天野 月美と名乗る少女を見た。



やはり 見た目 容姿が

太陽の彼女 日向さんだった。


≪天野さん…どうしたのその格好…≫

僕は 天野 月美を見て言った。


《これが…私の趣味なの…》

天野 月美は 顔を赤らめ俯きながら言った。


確かに 学校で見る 天野 月美は地味で目立たない存在だ。

だが 目の前の天野 月美は 日向さんに匹敵するほどの美人だ。


同じ 学校の奴等が 今の天野 月美を見てもわからないだろう。


≪もしかして…

天野さん…≫

天野 月美は頷いた。


《私といて恥ずかしいなら… 》

≪行こう天野さん…≫


僕は 天野さんの手を握った。