「お前の話を聞きにきたぞ。とりあえず座れ」
何も言わずに突っ立ったままの私の服をお母さんが引っ張って、先生の前に連れていかれる。
「実希、早く座りなさい。先生だって暇じゃないんだから」
……そんなの、言われなくてもわかってる。
黙って先生の前に座ると、お母さんも隣に腰を下ろした。
「今日お伺いしたのは、実希さんがこれを学校に持ってきて、休み時間に使っていまして……」
先生は、私の携帯を取り出して、コトンとテーブルに置いた。
お母さんは隣で謝っている。
なんか、お母さんに先に謝られると、謝りたくなくなっちゃう。



