―カランッカランッ
「いらっしゃいませー。」

「ねぇ留美、そういえばさっきの人だれ?」
「あー。耕太?あれうちの彼氏!あっ、名前は黒崎耕太だよ!」
「えっ!?留美彼氏いるの??」
「うん。ってあーちゃんいないの!?」
いないの?って。そう、私は人生で1度も彼氏が出来たことがない。
「うん」
「あっちゃー。そんなに可愛いのに。」
ばかにされてるよ、これ。
は、話変えないと。
「あっ、そいえば。彼氏チャラそうだね」
「そう?面白くて優しい人だよ」
「へーぇー」
面白くて優しい。かぁ。私も出会えるかな?そんな人に。
「あーちゃん、気になる人もいないの?」
「いやー。なんか恋愛とかあんまりって感じだし好きっていう感情がいまいちわかんないっていうか」
そう、好きってなに?中学の頃は恋愛とは無縁だったし。
「そっかぁ、んじゃあーちゃんにいい人があらわれるといいね!」
そう簡単にそんな人が現れたらいいのにな…。

はぁ、今日は楽しかったなぁ。でもこの幸せがいつかなくなりそうで…。
うんん。なくならないようにするんだ。私は強くなるんだから。
ふっと、部屋に置いてある時計が目に入った。
ぇええっ!?もう1時?そんな長い時間私はいったい何をしていたんだろう。
そんなことはいいや。早く寝ないと。

―ピピッピッ。
「んっ」
5時半。昨日夜ふかししたせいでまだ布団で寝てない気分。だけど高校生活2日目の今日は遅刻なんてしたくない。
「おはよー」
「早くご飯食べちゃいなさい」
「うん」