最後の時間の始まり


もう、それで十分じゃない。
これ以上、何を望むと言うの。

君は、私の恩人。
好きな人に助けて貰えただけ、幸せじゃない。


なのに。

どうして素直に、そう思えないんだろう。


どうして、切なそうにあの子を見ている君を見る度、胸が苦しくなるんだろう……。


言えない想いが積もって。
積もって、積もって。

残るのは、辛い気持ちだけ。


どうして私は、たった1歩が踏み出せないんだろう。

どうして、親友という立ち位置から、抜け出せないんだろう。